急に寒がりになった(甲状腺機能低下症)

甲状腺の機能が異常に高くなってしまうのがバセドウ病だとすれば、その反対に低下してしまうのが甲状腺機能低下症です。

“元気ホルモン”である甲状腺ホルモンが低下し、脈拍が上がらず、やたら寒がりになります。また、胃腸の働きも落ち、新陳代謝も落ちるため、食欲がないのに太りやすくなるのも特徴です。精神的にも活力が出ず、無気力になってしまいます。

甲状腺機能低下症は女性に発症者が多く、遺伝的な要素も指摘されています。身内にかかった人がいるようでしたら、検診の項目に甲状腺ホルモンの検査を加えることをお勧めします。身内にいない人でも、そもそも年をとることでほかの臓器同様に、甲状腺も働きは衰えますので注意は必要です。

加齢とともに甲状腺機能低下症は増加の傾向にありますが、活力がなくなりボーっとしてしまうため、認知症や初老期うつ、老人性うつと間違えてしまう人も多いようです。認知症やうつの治療を行っても改善しないのに、甲状腺ホルモンの補充薬を飲んだら、ものすごく元気になったというケースもよくあるようです。そのために、甲状腺機能の低下は、“治る認知症”ともいわれています。

もし、年をとって、最近なんだか元気が出ない、寒がりになった、食欲が出ない、ボーっとするといった症状が重なる場合は、一度病院で甲状腺機能を検査するといいでしょう。甲状腺が低下しているかは、血液を調べればすぐに分かります。内科や代謝科で甲状腺の数値を調べたい旨を伝え、血液検査をお願いしてください。放っておきますと、ますます体調がすぐれず、活力が低下し、高齢者の場合、そのまま寝たきりになる恐れもあります。

なお、甲状腺機能低下症には、ワカメや海藻などヨードを含む食品の摂り過ぎがよくないといわれています。ただし、食べ物で直ちに甲状腺ホルモンの量が変わることはありません。極端に摂取しなければしなければ、そこまで気にすることはありません。

〇何科に行くべき?

内科/内分泌内科/代謝内科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社