左肩に急激な痛み(心筋梗塞)

突然体の左側に激しい痛みを感じたら、心筋梗塞の疑いがあります。心筋梗塞とは、心臓に栄養と酸素を届ける心臓専用の3本の血管である冠動脈がつまって起こる心疾患です。血管が詰まって血流が止まると、約20分後には心臓が酸素不足になり、心筋の細胞が壊死します。

つまった血管は6時間以内に広げないと命にかかわるので、一刻も早い対処が必要になります。様子を見ようなど悠長に考えている暇はありません。

心筋梗塞は心臓の疾患ですが、実は最初から必ず心臓が痛くなるわけではありません。左のあごから左肩、左わき腹にかけて、どこかが痛み始めても不思議ではありません。中には左奥歯が痛いと訴える人もいます。左胸が痛い場合でも、ピンポイントで心臓が痛いというよりは、胸全体が圧迫され、胸の中をこぶしでつかまれているような痛みだといわれています。
狭心症でも胸痛は起きますが、狭心症の痛みは安静にしていれば治まるので、安静にしても痛みが治まらない場合は、心筋梗塞の可能性が高いといえます。

心筋梗塞では、酸素不足で心臓が異常な痙攣を起こし(心室細動)、致死性の不整脈が起切ることもあります。心室細動は発症後数分で亡くなってしまうという恐ろしい症状です。もし、胸の痛みを訴えて倒れた人がいましたら、すぐにAEDで処置を始めなければいけません。AEDとは、心臓に電気ショックを与えて心臓の動きを正常に戻す機械です。コンビニやスーパー、派出所、学校などの公共施設、駅、大きなマンション、会社などに設置されています。救急車が来るまでにAEDで不整脈の発作をしのげば、一命をとりとめる可能性は高まります。いざという時のために、近くのAEDの場所を把握しておきましょう。

心筋梗塞は、突然死に至る可能性が高い病気です、その主な原因は動脈硬化です。そのため、年を重ねれば誰にも起きる可能性はあります。心配な人は生活習慣、食事や運動には気をつかうようにしましょう。そして、タバコは血管を収縮させる作用があり、血管や心臓にとって致命的なリスクがあります。10年間禁煙していても、久しぶりの1本が命取りになることもあります。年を取ってからの喫煙はおすすめできません。

〇何科に行くべき?

循環器内科/すぐに救急車を呼んでください。

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社