◆東洋医学講座 196
〇心と面色
▽心臓の華は面色である
▼面色で何をみるか
面色で心の現れやすい面部位は、眉頭、眉直上、眉間(印堂)です。印堂というのは、眉間とその上を指します。
小人形法という人相でいいますと、鼻がその人の体に当たり、人中が男では尿道、女が産道、口は男では肛門、女では性器、ほうれい線は両足、両眉を腕とし、ここに小さい人形像が配当されて、これを人体の小宇宙として、その人の体全体が分かる仕組みになっています。
印堂に当たるところは、その人の頭部や面部で、その人の能力がここで分かります。鼻は体幹を現し、とくに胃腸が悪い人は腹部に当たるところに腫脹や蒙色が出ています。これがすぐに分かるような場合は症状が重く、ほんの少し悪いくらいの人は心眼でないとなかなか分かりません。不食や胃弱など、虚している場合は、白っぽくなります。
印堂が他の顔面の皮膚の色に比較して、わずかに紅色になっているのは、脳内は充血していることを示し、それがずっと続くと、脳出血に移行する可能性があります。このような症状は、心臓に異変があることを示しています。他の臓器よりも心臓が働かなければいけない条件下にあるとか、そのような生活状態に置かれているときです。
また、ときには眉の直上に示される人もあります。眉頭には白輪が示されることが多く、この白輪は心眼でないと分かりません。
このように現れる気色を心眼によって見通して症状などを知る方法を〝気色法〟といいます。皮膚は表皮、真皮、皮下組織に分けられますが、この何重にもなっている下に、気の流れがはっきりと生ずります。そして白い線で示されます。それが気色です。よく気色が悪いというのはこのことであり、健否だけではなく、その人の身上に起こった問題によって走る部位が違います。
例えば、好きな人がいると、魚尾奸門(目尻)から頬にかけて気色が走ったり、魚尾奸門に好きな人の顔が現われたりします。これは人の顔だけではありません。どんなものでも現れます。文書の場合では、文書宮に現れますし、例えば手紙が来ない場合でも、ちゃんと手紙の形が現れます。このように形の現れるものを〝画相法〟といいます。
顔には父の部位、母の部位、兄妹の部位、恋人の部位と区別されていて、区分から区分に走る気色をみて、これは何の問題であると判断します。訓練を積めば誰でも分かるようになります。北面からの光線がある場合に一番よく分かるといわれています。落ち着いた一定の光が分かりやすいです。だいたい、40~50ワットの裸電球の光線を和紙一枚を透かした程度といわれています。割合に暗い光線です。そして、正面からよりは斜め横から見るほうがはっきりと分かります。実際にはどこから見ても分かります。見やすい条件と見にくい条件とあります。
精神のような見通しにくいものでも分かるので、肉体的なものは非常に判断しやすいと思います。したがって、心臓の状態などは一目瞭然です。
鍼灸師は心電図もレントゲンも使えませんが、使えなくてもいいのです。自分の肉眼というレントゲンを使って診察します。機械より人間の能力の方がはるかにすぐれているからです。