肝臓病

●肝の機能低下での症状ー 関節痛、精力減退など

東洋医学では、「肝腎かなめ」という言葉があるように、人間の内臓のうち、肝の臓と腎の臓の機能を治療の大切な目安にしています。

肝の臓は、現代医学の解剖学でいう肝臓と多少違って、東洋医学の肝臓はもう少し幅広い役割を持っており、筋肉の働きもつかさどるといわれていて、全身筋肉の機能を調整する重要な臓腑の一つであります。

また、「肝胆相照らす」という言葉もありますが、肝の臓と胆の腑は、お互いに相補い合って人間の健康を保つ機能を果たしています。

東洋医学でいう臓腑型がそのままの形で実在しているとは考えられないですが、少なくとも人間の生命現象を有機的、総合的にとらえ、病気というものを人間の体の乱れと考えますと、この乱れからくる様々な症状がもたらした病人の体力や抵抗力の衰えに視点をおいて、肝の病の治療を考えます。

治療は、肝の臓と腎の臓、さらに肝の臓と胆の腑の機能と関連を重視し、肝の病ではこれらに関係があるツボを選択します。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

肝では背中の「肝兪」と腹の「期門」、
胆では背中の「胆兪」と腹の「日月」、
腎では腰部の「腎兪」と腹の「肓兪」を治療します。

その他、腹部の「巨闕」や「大巨」、足の「太衝」、「蠡溝」なども重要なツボになります。

◆治療法

灸治療を行う場合、「肝兪」、「胆兪」、「腎兪」、「期門」、「日月」、「肓兪」を重点的に刺激します。透熱灸として米粒大のもぐさを1ヶ所3~5壮、1日1回、3週間続けて、1週間休むというローテーションで、回復するまで根気よく続けます。知熱灸でも十分効果があります。

また、足の「太衝」、「蠡溝」も肝臓の病には欠かせないツボで、鍼灸治療をすると治療の効果が促進されます。「太衝」は肝経の原穴(五臓六腑の病気に応じて反応が出るところ)で、肝臓の働きを司るエネルギーの通路の原点と考えます。「蠡溝」は肝経の絡穴(疾病の際に反応のよく現れるところ)で、このツボから胆経へ連なる支流が出ており、両者の機能を円滑にする役目をします。