のどの奥に白いカス(扁桃腺炎)

~扁桃腺炎を侮ると死に至ることもある

口を思いっきり開けますと、のどの奥の真ん中に通称のどちんこと呼ばれる口蓋垂が垂れ下がっているが見えます。その両側に桃のような形でくっついているのが扁桃腺です。

この扁桃腺が腫れるのが扁桃炎といい、症状が悪化するとのどの奥に白い汚いカスがたくさんくっつきます。この白いカスは化膿した膿です。扁桃炎は比較的よくある病気なので、風邪の厄介なものくらいのイメージですが、放っておくと死に至る侮れない病気です。

のどは物を飲み込むだけではなく、空気も通っています。扁桃炎が悪化しますと、両側から扁桃腺が腫れてくっつき、空気が通るすき間がなくなります。最初はつばを飲み込むと痛いとか、ご飯がのどを通りにくいといった状態ですが、いずれ水を飲むことが難しくなり、最後は扁桃腺が真ん中でくっついてしまい、呼吸するたびにヒューヒューと音がするようになります。そして、ついには呼吸ができなくなり、救急車を呼ばないといけなくなります。病院では緊急でのどに穴をあけ、肺に直接管を入れます。気管切開による人工呼吸です。呼吸を助けている間に、扁桃腺を治療します。

扁桃炎は、このように軽く見ていると死に至る可能性がある、本当に怖い病気です。風邪だと思って自己治療していると、とんでもないことになりかねないので注意しましょう。

ちなみに、腫れると高熱が出るため、昔は耳鼻科で扁桃腺を切除する手術が行われていました。扁桃腺が何も役割を果たしていないと思われていたからです。しかし、現在は一部のケースを除き、基本的に切除は行っていません。扁桃腺がリンパの塊のような組織で、体の免疫システムとして最前線で働いていることが分かったからです。

口から入った細菌やウィルスは、まず扁桃腺の免疫システムがキャッチして、そこで壮絶な戦いを繰り広げて、扁桃腺は赤くはれて、高熱が出ます。

扁桃炎を予防するには、よく食べて、よく寝て、適当な運動をして、免疫力を高めることです。また、細菌やウィルスを口に入れないように、手洗いやうがいの習慣を心がけましょう。

〇何科に行くべき?

内科/耳鼻咽喉科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社