においが分かりづらくなった(認知症)

高齢者が、「最近においが分からなくなった」といい始めたら、医師は認知症を疑うようです。嗅覚は脳の一番原始的な感覚であり、嗅覚障害は認知症のごく初期にあらわれる症状だからです。認知症患者と健常者の嗅覚機能を比較した研究においても、認知症患者の嗅覚が低下していたことが明らかになっています。

実際、認知症の人は鍋を焦がしたり、料理の味付けがおかしくなったりしがちですが、それも単なる注意力の欠如ではなく、鼻が匂わなくなっているためだろうといわれています。
ちなみに、認知症と物忘れの違いは、ヒントがあると思い出せるのが物忘れで、思い出せないのが認知症です。

認知症を治す薬は今のところ見つかっていないようです。認知機能の低下には、脳内のアミロイドという物質の増加が関係しているとされていますが、このアミロイドの増加を抑える薬で、進行をゆっくりさせるのが限度のようです。ですから、何より大切なのは、普段から脳と神経を刺激して衰えさせないことです。文章を書いたり、人前でスピーチをしたり、また、社会的活動や社会とのつながりが、脳や神経の刺激となり、認知症の予防につながります。

〇この症状が重なると注意

・においが分かりづらくなった
・同じことを何度も言う
・料理の味付けがおかしい
・食事をしたことを忘れる
・自分のいる場所が分からなくなる
・感情的になる
・部屋が片付けられない

〇認知症を放っておくと…

症状が進み、徘徊や幻聴、幻覚、暴力などの問題行動につながります。

〇何科に行くべき?

内科/神経内科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社

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