気管支喘息

発作性に呼吸困難と喘鳴が起こる病気が、気管支喘息です。その原因については諸説が立てられていますが、最近ではアレルギーの一症状であるという説が有力です。

アレルギーとは、普通の人であれば、食べたり、吸い込んだりしても特別な異常があらわれないのに、アレルギーの原因となる物質、アレルゲンとなって起こる過敏症のことであります。

アレルゲンは、杉、室内のホコリ、ペットの毛、家ダニ、ある種の食べ物(卵、魚など)、冷たい空気など、多岐にわたります。また、両親や祖父母が喘息であると、発作を起こしやすい体質が遺伝するといわれています。

過敏体質の人がアレルゲンを含む空気を吸うと、副交感神経が異常に高ぶって気道を狭めようとするため、空気の出入りが悪くなります。同時に、副交感神経の働きで、気管支を構成している平滑筋にケイレンが起こり、気管支壁をめぐる細い血管を圧迫し、うっ血が生じます。このうっ血が原因で浮腫ができて、気道はさらに狭くなり、呼吸困難になります。

一方、気管支壁を取り巻く薄い粘膜も過敏になって、粘液を分泌します。これが痰ですが、この痰が絡むと、一層呼吸が困難になって、苦しむわけです。

ツボ療法は、交感神経の働きを活発にして気道の管を広げ、気管支の筋肉のケイレンを止めることに努めます。交感神経の働きは血液循環がよくなるにつれて高まるので、つまり喘息発作を止める出発点は、血液循環の改善にあります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

背中 「大椎」、「治喘(定喘)」、「肺兪」、「心兪
喉  「天突
胸部 「中府」、「膻中
腹部 「中脘」、「天枢
腕部 「孔最」、「侠白

などが重要なツボです。

◆治療法

〈発作がおさまっているとき〉

刺激量に注意して、全身的な治療を行います。筋肉の緊張をほぐし、血液の循環を目的に刺激をします。

背部は、「大椎」、「治喘(定喘)」(第7頸椎棘突起と第1胸椎棘突起との間で外側へ5分のところ)、「肺兪」、「心兪」などのツボを選びます。

胸側は、「天突」、「中府」、「膻中」を刺激します。特に「中府」穴付近は、押すと痛いかたまりがあることが多いので、これを取り去るように施術します。

腕は、「俠白」、「孔最」を処置します。両穴とも昔から咳とタンをとり、発作を抑えるツボとして重視されています。くわえて、「曲池」、「合谷」も処置します。

冷え取りのツボとして、「三陰交」、「太谿」なども加えます。

喘息には、灸治療が非常に有効であります。特に、「大椎」、「肺兪」、「心兪」、「天突」、「中府」、「俠白」、「孔最」などは喘息にかかりやすい体質によく効くツボとして活用されてきました。1カ所に3~5壮を3週間続けます。

〈発作が起こったとき〉

後ろ首の「天柱」から背骨の両側を腰部に向けてマッサージをします。

さらに肩甲骨の内縁に沿った経路、耳の後ろから横首を斜め前下に走る太い筋肉などは、両方の親指で小さな輪を描くように指圧します。

発作中は鍼治療より灸治療のほうがよいですが、「心兪」に取穴してやや内方に向けて50~60㎜刺入しますと、発作はおさまりやすいです。