寝違え(急性疼痛性頸部拘縮)

寝違えは、無理な姿勢で寝たため、頚部の筋肉や筋膜の炎症、気が付かない範囲の軽い風邪、頚椎に何か病気があるときや、クーラーの冷風が急激にあったときなどに症状が起こります。

この場合、頸筋の後ろ両側にある僧帽筋、胸鎖乳突筋、あるいは後ろ首の生え際、つまり、ぼんのくぼから耳の後ろところまで触ってみます。すると、硬直しきった硬い筋肉に触るか、指で軽く押さえただけでもひどく痛むところが見つかります。

症状が軽ければ、痛みはかたまり状に触れますが、重いときには、筋肉全体が痛んで硬くなっています。つまり、寝違えで最も侵される筋肉は、僧帽筋と胸鎖乳突筋であります。長時間同じ姿勢のままでいたり、急激に冷やされたりして筋肉が縮み、血流の流れが悪くなり、痛みを起こす結果となります。

そこで、寝違えを治すには縮んだ筋肉を緩め、血管を広げて、血のめぐりをよくしなければいけません。

あまり長い間治らないものは、頚椎の他の疾患、例えば腫瘍や炎症、痙症またはリンパ性斜頸などを考える必要があります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

後ろ首 「天柱」、「風池」、「天容
肩   「肩井
首の前 「気舎
背中  「膏肓

などがポイントになります。

◆治療法

治療前に首筋の緊張をほぐすために、首用ホットパックや蒸しタオルなどで、首を10分ほど温めます。

最初に、「天柱」、「風池」などの刺激します。

次に「天容」、「気舎」を刺激します。

後頭部が強く痛む場合は、「天柱」、「風池」をしっかりと刺激します。

首の治療を終えたのちに、「肩井」などを刺激して、首から肩にかけての緊張をほぐします。

最後に、背中の治療に移ります。背中の緊張部分をほぐします。「膏肓」には強い反応があることが多いです。

同じ寝違えでも、首を反対側に回すと、首前のひきつるような痛み起ることがあります。このようなときは、上向きで寝て、熱めの蒸しタオルを耳の後ろから横首、のどへと置いて10分ほど温めます。首を反対側に少し曲げ、耳の後ろから鎖骨の内側に向かって、親指と人差し指で軽くなで、軽くつまむように上げてもみます。

次に、横首で耳の下の「天容」、「天鼎」、のどの「気舎」のツボを刺激します。これらのツボの下には、総頚動脈、内頚動脈など、頭に行く大切な血管があるので、慎重に刺激します。

◆メモ

治療の後、首を左右に曲げたり、大きく回す運動をしたりして、痛みが出ない程度に行ないますと、効果が増します。

◆家庭療法:ヘアドライヤーで首を温める

寝違えて首が痛いときは、まず後ろ首にある太い筋肉と、耳の後ろから前首にある胸鎖乳突筋を触りますと、硬く筋張って押すと跳び上がるほど痛いところがあります。この緊張した筋肉を緩めるつもりで、ドライヤーを利用して熱風を送りますととても効果があります。気持ちいい程度の熱さがいいでしょう。