方位からの間取り

▽方位からの間取り

間取りを方位からの見地から説明しますと、色々な条件に合っていても中心の者の部屋は乾(北西)の方位にもっていくのがよいとされています。真正中であれば申し分ありませんが、だいたい乾の方位であれば結構であります。

ここは主人の座であるばかりではなく、〝君子南面する〟といいまして神の座でもあります。その君子の座は天門と称されて大変落ち着く場所になっています。天門=父、すなわち、このなかには戌の方(西北西)は無の極で、亥は種子の核、また、一年の核であり、つまり大本になるという意味があります。したがって、これをもって大きなスタートとするわけであります。人間でいえば核である精子、卵子が生成される状態を指しています。これが第一のスタートで、その次は陰陽の交配によって子供が誕生します。これが第二のスタートで寅、つまり春になるわけであります。

我々は天地間に住んでいます。ゆえに天に通ずる方位として、戌亥(西北西)は、四季を通じて落ち着く位置であり、方位となっています。落ち着くところは主権者が位する所であり、権力を握る人が陣取る所であります。よって乾は家長の部屋であるばかりではなく、神仏の位もここにあります。つまり、神棚や仏壇を置く部屋であり、品物であれば宝物を置いておく方位でもあります。

なお、乾の正中辺を境に、AとBという部屋があった場合、どちらを乾にみていくかといいますと、部屋が明るいか暗いかを見分け、それから考えます。まず暗い方位は落ち着く場所なので、乾とみればいいわけであります。もし西側と北側に二室あった場合は、もちろん北側が乾主とみます。乾の部屋が分かったら、そこに主人が住むか、主人が使えばよいのであります。乾の方位は他人に貸さないほうがいいでしょう。

この考え方は、一室しかない建物の場合も同じであります。部屋がたくさんある家でも、小部屋一室の家でも、仏壇は乾の方位に置くのが好ましいです。もし、大事なものを鬼門の方位に置くと、自然の死角にはまって、品物を失ったり、盗まれたりする元をつくります。艮(北東)方位から中心にみた場合、また反対に中心から艮の方位を見た場合、われわれは気のつかない極陰の悪作用の及ぼす、例えば何かを盗みたくなるような状態に陥ります。これは泥棒が鬼門の方位から入ることが多いことからもうなずけます。

そのようなことから、この方位は俗に鬼の心をつくらせる方位だといわれています。乾の方位はそれとは逆に、神聖な心をかき立てる方位といわれています。乾の方位に座っていますと、神聖な心を保ち続けることが出来るのであります。