巽(東南)の張り欠け

▽巽(東南)の張り欠け

①巽の張りの場合

巽の張りは、世間の信用があって、人気があり、遠方の取引が良好になります。この遠方の意味は引きのばして考えますと、別荘や支店などが考えられます。役人やサラリーマンは、遠方に旅行して俸給を増し、他に栄転するとも考えられます。巽を易から説明しますと、巽を以って風とし、風は遠方まで吹くので、その意味から吉意遠方まで吹き及ぶので、人気の方位とみています。

つまり、人のよく集まる方位であります。その理由として、巽は八方位になかでも一番明朗なところで、人に当てはめますと、暖かく柔らかい、きれいなムードをもった美しい女性のような姿であります。後天定位盤を見ますと、北側に厳しい男性として、南側を女性にあてています。そして、巽は女性の中でも長女、完成された女性を表しています。ただし、それが過ぎますと、老母、老婦となります。この場合は老いという意味ではなく、頭がキレ、達者な女主人となる明朗な方位でありますが、程よい張りにとどめていた方が無難であります。それから、一つの条件として、巽と乾は両方張っているのが条件で、巽だけの張りは一時的な発展で終わるので忘れてはいけません。

②巽の張り過ぎの場合

巽に不相応の張り出しがあるときは、一時繫栄しても終わりに大きな困難が起こってきます。仕事を手広くやって損をするなどがいい例で、張り過ぎは広げ過ぎと考えてもいいでしょう。サラリーマンは我意を張り過ぎて、退職になり、家運が次第に傾き、家の人が旅行中に災難にあうこともあります。

乾(西北)張りのないときの巽の張り過ぎは、長男が亡くなるか、長男ではなくとも相続人が亡くなります。宅地で巽方を貸すときは、家主、借家人共に貧困に陥る恐れがあります。これは、よい方位を人にとられたと同じであるので、一家の明朗が欠けることになります。

吉の意味合いが欠ける悪い意味としては、強欲、非道、訴訟、色欲があります。この色欲は、計算高い色欲になります。不信、悪評、後難、あるいは、長女が家系を継ぐか売れ残ります。その理由は長女にとって住みよい家になるからであります。それから、次男が家系を継ぐということも起こります。

同じ巽の張りでも、道路を隔ててあるものは東の意味が含まれているので、職業が繁盛し、使用人が忠実となり、遠方より幸がくる、技芸の人を出すなどの華やかな良相になります。

③巽の欠けの場合

程よく欠けているのはかえって福力があるとして貴人に愛されています。これは人に従ってする家業の者に最もよく、例えば、芸姑や芸人、とくに女性は人の寵愛を受けるといった、幸福な家相となります。このような家の娘は、だいたい良い縁談があると考えられますが、どこか他に家相の欠点があると、正常ではない人の寵愛を受けることにもなりかねません。

人の上に立とうとする人は、巽を欠くことは最も避けなければいけません。巽の欠けには低姿勢の意味があり、それが現われてきて人より抜きん出ることが出来なくなります。

大きく欠ける場合は、生産力が衰え、女難、変死、短命、妻縁が薄く、亡命が考えられ、争論、欲に絡んだ訴訟、養子家系、東位の意味も加わってきます。東位の訴訟は、感情に絡んだもの、牢獄の難、発狂があります。この発狂は内攻的な意味で、東の激しい発狂に対峙しています。長男は幼くして親と離れるようになり、長女は縁遠く、死亡愚人となるので大きな欠けは注意を要します。

病気は、手足の難病、胸腹の病、中風、生理不順、神経痛、血行・血液の病になりやすいです。これは巽が順調、ととのうの意であるので、それが不調となったことから起こるものであります。それから、妻女短命、主人短命、ともみられますが、これらはもちろん、先天運の強弱によって違いがあり、家相ばかり見るのは誤りであります。