鍼灸オタクは早死にする 966


高血圧を考える 38

〇血圧は自分で測る

▽血圧は変動する

病院での診察や検診で少々高めの血圧が出たからといって、むやみに怖がる必要はありません。医師はすぐにでも降圧剤を飲むようにいうかもしれませんが、相当高めの高血圧でない限り、その必要はありません。

むしろ降圧剤を飲むことで、自立度が低下したり、死亡の危険度が増したりする可能性があることを様々な調査から説明してきました。にもかかわらず、高血圧の基準値はますます低く設定されてきています。どの程度かの血圧値から本当に危険度が高まるかについては、もう一度よく考える必要があるかと思います。

その前に本当に高血圧症という病気なのか考える必要があります。といいますのも、高血圧の判断基準がやたらと低めに設定されているだけではなく、そもそも病院で測った高血圧の数字は、本当に体の状態をあらわしているのかという疑問があります。

血圧は、一日のうちで激しく変動します。これは、激しい運動をすれば、筋肉や脳がたくさんの酸素と栄養分を必要とするために心臓を働かせて血圧を上げ、組織に多くの血液を送り込むからです。ストレスがあると血圧が上がるのは、ストレスが原因となっている危機的な状況を解決するために脳はしっかりと働く必要があり、脳に血液をたくさん送り込み、酸素と栄養分を補給するからです。

ただし、ずっと血圧の高い状態が持続することは確かによいことではないかもしれません。血管に強い圧力がかかり過ぎて、血管がもろくなるかもしれないからです。しかし、一時的な血圧上昇に合わせて血圧を下げていたのでは、脳や他の体の大切な組織が酸素不足・栄養不足に陥り、不都合が生じることが容易に想像がつきます。

理解してほしい肝腎なことは、血圧が高くなるのはたいていの場合、必要・理由があってのことであります。一時的な変動にとらわれてはいけないということです。朝は一日の活動を始めるために血圧が上がり、そして午前中続きます。昼食時に少し下がり、午後の活動再開とともに上昇し、一日で最も高くなります。そして、夕食時また下がり、就寝とともに下がり、睡眠中は最も低くなります。途中で激しい運動をしたり、根を詰めた考え事や計算などをしたりすると血圧は上がります。したがって、一日のうちいつ血圧を測ったか、血圧を測る前に運動していたか、考え事をしていたのか、ドキドキしていたか、などによりその値は大きく変わってきます。

具体例として、ある人が受診して二回計って二度とも血圧が高いので医師に降圧剤を勧められたのですが、医療情報誌を読んで思い当たることがあったそうです。計測二回とも、その人は受診のために仕事を終えて、慌てて病院に駆けつけていました。しかも季節は3月でした。また寒さが残っています。そこで血圧計測器を購入し、毎日夕食後に1時間ほどしてから計ってみました。すると血圧はごく普通の値で安定していました。

人にもよりますが、病院では血圧が高いといわれないかと心配して、血圧が上がる人がかなりいます。しかし、単にストレスだけではなく、前述のように慌てて診療室に駆けこんで測った場合にも血圧は上がります。白衣高血圧とは、病院における血圧計測でみられるそのような影響を総合的に表した言葉です。単に医師が怖いというストレスだけではありません。

例えば暗算をするだけで、血圧は20~30ほども簡単に上がります。肉体を激しく使うと、さらにそれ以上に血圧は上がります。健康な人でも、緊張状態や運動後に最高血圧が180くらいに上がることはあるので、そのときの血圧に2000年以降の新基準を適用すると、誰でも簡単に高血圧症といわれてしまうのであります。

したがって、まずは血圧の測り方に注意しましょう。血圧をうまく図ることで、安易に高血圧症のレッテルを貼られることがないように自己防衛します。高血圧症のレッテルを貼られなければ、降圧剤からそれだけ遠ざけることが出来ます。

参考文献・引用・2005年・『高血圧は薬で下げるな!』・角川書店・P118