お手伝いさんの部屋

▽お手伝いさんの部屋

お手伝いさんは昼間働いているので、家にいる率が少ないです。日中の陽当りの良し悪しよりも、仕事の束縛から解放されて、自由天地を求められる個人部屋として造られることが必要です。

大抵、人間に心理として他人と雑居することを嫌うので、どんな小さい部屋でも独立した部屋を与えてあげることが大切であります。

とはいえ、個人に大部屋を与えても良くはありません。なぜならば、私心に広い場を与えますと虚性心理が働き、気がおごって贅沢になり、また、気持ちが大きくなって、目上に逆らう心が起こり、統率がとれなくなってしまうからであります。

そして、大部屋に大勢で住むことも避けるべきであります。その理由は各々の責任観念が薄くなって、誰かが整理してくれるだろうという放任主義になりがちで、だらしなくなり、また、群集心理が働いて共謀を働いたり、お互いに他人の人権を侵害し合ったりするのであります。共同の雑居式の部屋はよく用いられる手ですが、あまり褒められたものではありません。

また、大勢いる寮式造りのところでは、二人一組かまたは四人一組の小部屋に仕切り、さらに各々ベッドをカーテンで囲み、小さなベッドハウスにして、人権侵害されない自由天国を造り住まわせるのが効果的であります。

この方法の利点は、人権を侵害されないということと、虚性心理が起こらず団結的になるというほかに、他人に迷惑が掛からないので、個人的なことが出来るということであります。例えば、夜遅くまで読書したい人は、カーテン内で個人用の電気スタンドを使用すれば、明りが寝ている同居人に及びません。細かく考えていきますと、まだ沢山の利点があると思います。

ただし、個々のスペースはカーテンを仕切るだけでは狭いので、全体共有の娯楽室を造る必要があります。そうしますと寝たい人は自分のベッドに行き、まだ遊んでいたい人は娯楽室を使って過ごすということになります。

もちろんこの他に、個人個人の性格によって、同居する人を考えたり、それによって室内配色を計ったりして、お手伝いさんたちの精神安定をさせることも考えなければいけません。