急に視野が欠けた(脳腫瘍)

視野に影響が出る病気として一般的に疑われるのは、目の病気の緑内障です。緑内障は40歳以上の人に多く、視野の周辺は徐々にかけるため、気が付きにくい病気だといわれています。症状が進行すると視力が落ちて、最終的には失明します。ただし、今日の医療であれば、点眼薬で進行は止められます。年1回の検診で眼圧検査を受ければ、早期発見ができ対処ができます。

しかし、眼圧の検査でも異常がなく、突如視野の一部何かでおおわれたようにかけたときは、脳の病気を疑います。テレビ画面を視野だとすると、その一部を紙でおおったような見え方をします。原因としては脳腫瘍が考えられます。腫瘍が視神経を圧迫し、視野に障害が起きるのです。

脳腫瘍の症状は、必ず視野の異常が出るわけではありません。腫瘍ができる場所によっては症状が異なります。例えば、耳の神経を圧迫すれば音が聞こえなくなりますし、運動を司る神経を圧迫すれば、手足の麻痺が起こることもあります。こうした異常が出た際には、症状が出ないレベルまで脳腫瘍の大きさを削る手術をします。

腫瘍と聞くと、恐ろしい気がしますが、脳腫瘍はほぼ良性です。脳に悪性の腫瘍、すなわちがんができるのはごくまれで。グリオーマという脳のがんを除けば、脳にがんができることはありません。

脳腫瘍は放置しても、脳出血や脳梗塞などにつながることはまずありえません。症状がなければ経過観察のまま一生を終える人もいます。ただし、脳腫瘍も早期発見がカギを握ります。放っておくと脳を圧迫し、様々な症状を引き起こしますし、大きさによっては手術リスクが上がって、対処できなくなる可能性があるからです。

脳腫瘍は何年もかけて大きくなるので、50歳や60歳など、節目の年にMRIの脳ドックを受けることをお勧めします。

〇何科に行くべき? 脳神経外科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社