むくみが数日続く(急性腎不全)

からだが異常にむくむ場合は、腎臓にトラブルを抱えている可能性があります。腎臓は血液をろ過して老廃物を取り出し、尿にして排泄する働きをしています・腎臓の働きが衰えますと、老廃物が上手く出せず、全身がむくんで、倦怠感や肌荒れが出ます。もし、このような症状が突然見舞われ、それが何日も続くようでしたら、急性腎不全の疑いがあります。

慢性腎不全は5年、10年かけて腎臓がダメになっていく病気ですが、急性腎不全の場は突然、腎臓の機能に障害が出てしまうものです。

例えば、免疫の異常による腎臓の衰えや、尿路結石、前立腺肥大などで尿が流れる管がつまって、腎臓に障害が出ている場合などです。また、薬が原因で起こる薬剤性の急性腎不全もあります。薬剤は化学物質なので、肝臓で処理され、腎臓で尿となって体の外へ出ていきます。つまり、腎臓は薬の通り道であり、それだけ薬の影響も大きいです。

薬剤性の急性腎不全で有名なのは、かつて市販されていた痛み止めのセデスGです。セデスGには、痛みによく効くフェナセチンという成分が入っていました。ロキソニンやボルタレンより数倍よく効いたのですが、この成分は腎臓を悪くして、人工透析になってしまう人が続出しました。現在、日本ではフェナセチンを含む痛み止めは販売禁止になっています。ちなみに、セデス・ハイという名で売られている鎮痛剤にはフェナセチンは含まれていません。

この例に限らず、一般的に解熱鎮痛剤は腎臓に負担がかかりやすいので、注意が必要です。ロキソニンが薬局でも気軽に手に入るようになりましたが、これらを常用していると、ある日突然、腎臓が悲鳴を上げる可能性もあります。

腎臓は、ある程度まで機能が落ちてしますとリカバリー不可能な臓器です。機能が止まると、腎移植か人工透析しかありません。

突然、顔や足がむくみ、倦怠感や皮膚のトラブルがあらわれたら、急性腎不全を疑い、すぐに病院に行ってください。

むくみ症状がよく分からない人は、足のすねや足の甲を指で押してみます。むくんでいれば、くぼみがなかなか戻らないのですぐにわかります。

なお、腎臓の病気は尿にあらわれることもあります。腎臓が弱ってくると、尿の泡立ちが目立つようになります。腎臓は血液をろ過し、老廃物を排泄します。その機能が弱りますと、タンパク質がろ過を通り抜け、タンパク質の多い状態のタンパク尿になります。この尿は、泡立ちが目立ちます。

また、糖尿病の場合も尿が泡立ちます。これは、尿の中の糖がたくさんあることで、尿が粘っこくなって泡立つためです。

排尿時、15秒くらいたっても最初と変わらないくらい泡が残っていたら、何らかの異常がある可能性が高いです。その場合には、ドラッグストアで売っている尿検査テープを使うと、尿中のタンパクや糖の量が分かります。異常な値が出たら、すぐに病院で診察を受けましょう。

〇何科に行くべき?

内科/腎臓内科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社

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