激しい頭痛とおう吐(脳出血)

脳出血とは、脳の血管が破れて出血してしまう症状で、同じ脳内出血でも、動脈瘤が破裂するくも膜下出血とは少し性質が異なります。

脳出血の主な原因は高血圧です。動脈硬化によってもろくなった脳の血管は、血圧が急に上がった時にパキッと裂けて出血することがあります。血圧の急上昇するのは、起床時やトイレでいきむとき、入浴中などです。お風呂場で倒れていたという話は、血圧の急激な変化で脳の血管が裂け、脳出血を起こしていることが多いのです。

朝10時から12時は、脳出血の起こりやすい魔の時間帯です。血圧が1日で最も高くなる時間帯なので、脳出血が起こりやすくなります。

脳出血の症状は、脳のどの部分から出血するか、出血の範囲がどれくらいかで違ってきます。特に出血の可能性が高いのは大脳の被殻という場所で、この場合は、頭痛やおう吐症状、手足の麻痺・しびれ、感覚障害などが起こります。おう吐しながら倒れて、手足が動かないような場合は、脳出血の可能性が高いと思われます。その他、出血する場所によっては、めまいや言語障害、意識がなくなることもあります。

ただし、いずれの場合も、脳出血は強い頭痛とおう吐で始まる場合が多いのが特徴です。この2つの症状が重なる場合は脳出血を疑い、すぐに救急車を呼びましょう。

救急車を待つ間に、付き添いの人がやるべきことは、万が一、本人の意識がなければ、おう吐物で窒息しないように、横向きに寝かせます。ベルトやネクタイを緩めて、楽な姿勢をとらせます。普段、薬を飲んでいる人であれば、薬か薬手帳を持参します。

なお、脳出血の主な原因は高血圧なので、健康診断で高血圧を指摘されたら、甘く考えずにしっかりと自己管理を行いましょう。高血圧を防ぐには、何といっても減塩が大切になります。摂取する塩分は1日5g以下に抑えましょう。

また、脳ドックに受診もお勧めします。脳ドックでは、自分の脳の状態が明確にわかります。自分の脳に脳動脈瘤や先天的な血管異常がないことが分かれば、めまいや慢性的な頭痛に心配しすぎることもなくなります。

しかも一度受けてしまえば、以後、10年は受けなくても大丈夫です。自身の安心のためにも、40歳や50歳などの節目の年に脳ドックの受診を検討してみてはいかがでしょうか。

〇脳出血のリスク

高血圧・過剰の塩分摂取・大量のアルコール摂取・運動不足・加齢

〇何科に行くべき?

脳神経外科/救急車を呼んでください

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社