胸から背中にかけて刺すような痛み(大動脈解離)

胸から背中にかけて刺すような痛みが走り、どんどん体中に広がっていく症状が動脈解離の特徴です。

動脈解離とは、心臓から全身に血液を送るための体で一番太い大動脈が裂ける病気です。本来は裂けてはいけない血管がメリメリと裂けるので、その痛みは半端ありません。鼻に巨大な物質を突っ込まれ、縦に裂かれるようなものです。

しかも裂け目はどんどん広がっていくので、痛みは次々と広がり、腹や脚などにも及びます。狭心症の場合は、痛いところが1ヵ所ですが、大動脈解離はその痛みがどんどん広がって移動するのが特徴です。

また、狭心症の場合、休めば痛みが治まりますが、大動脈解離はどんどん痛みが広がって治まりません。激しい痛みが治まらない場合、大動脈解離のほか、心筋梗塞も疑われるので、一刻も早く病院に行きましょう。

大動脈には外膜、中幕、内膜の3つの膜がありますが、外膜まで破れてしまいますと、大出血となって手遅れになる可能性があります。救急車を呼んで、いかに血管が外膜まで裂けてしまう前に治療できるかが生死を分けると心得ておきましょう。

また、くも膜下出血と同じように、大動脈にも動脈瘤の破裂があります。もろくなった大動脈の血管は弱くなったところでコブを作り、この動脈瘤が破裂すると体内で大出血を起こし、1~2分で意識を失ってしまいます。

大動脈解離、大動脈瘤の破裂には、ともに目立つ前兆はなく、突然、裂けたり、破裂したりします。心臓と脳の病気には遠慮はいりません。結果的に問題がなくても謝罪で済みます。今まで感じたことのない激しい痛みを感じたら、直ちに救急車を呼びましょう。

なお、大動脈解離・破裂の原因は動脈硬化です。血管かもろくならないように、食生活や運動に気を付けて、血圧が高くならないように管理を心がけましょう。

〇何科に行くべき?

循環器内科/すぐに救急車を呼んでください。

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社