ビタミンD

最近の研究で、ビタミンDには細菌やウィルスをやっつける抗菌ペプチドといわれるタンパク質をつくる働きがあると分かってきました。生物の体には外敵から身を守るバリア機能がありますが、その一つが抗菌ペプチドです。ビタミンDが不足しますと、バリア機能が衰えるので病気にかかりやすくなります。

ほかにも、ビタミンDがカルシウムの代謝を助け、血中のカルシウム濃度を一定に保つ働きがあります。栄養状態が悪かった時代には、骨が曲がってしまう「くる病」の人がいましたが、この原因はビタミンDの不足でした。原因が分かってからは、ビタミンDが豊富な肝油などを飲むことで予防をしていました。

ビタミンD不足は、骨粗しょう症の原因にもなります。発症の恐れのある高齢者や閉経後の女性は特に注意したいところです。

そして、ビタミンDが不足しますとがんや糖尿病などの生活習慣病にもかかりやすくなるとされています。もし、風邪をひきやすくて、体調を崩しやすい人は、ビタミンDを補う習慣ができているかチェックしてみましょう。

日常生活を振り返るときには、毎日、日中に外出できているかも重要なポイントになります。ビタミンDは、口からの摂取のほか、紫外線を浴びることによって体内に合成できます。そのために、外出できていない、日を浴びてない人は、ビタミンD不足の可能性が高まります。とくに、日照時間が短くなる冬場は、体内のビタミンDの合成が減少するので注意が必要です。冬場に風邪が増える原因の一つとして、ビタミンD不足が考えられています。

最近、新型コロナウィルスの影響で外出機会が減っている人は、少なくとも一日15分は日光を浴びるように心がけましょう。

なお、ビタミンDはサプリメントによる過剰摂取には注意したほうがいいでしょう。ビタミンB群やビタミンCと異なり、ビタミンDは脂溶性です。尿で簡単に体外へ排泄されることはありません。過剰に摂り過ぎると高カルシウム血症や腎障害を起こすので、注意してください。

☆ビタミンDを多く含む食材
サケ、マグロ、サンマ、イワシ、ブリ、サバ、うなぎ、きくらげなど。

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社