家の構造はどうするか?

▽家の構造はどうするか?

家の構造を考えるには、まず日当たりということを頭に置かなければいけません。太陽熱は殺菌力と物を育てる原動力を持っていますが、度を過ぎれば殺す力に変化してしまいます。

①日当たり

具体的にいいますと、南の太陽と西南の太陽と東南の太陽を考える必要があります。この三種類の太陽のうちでは、西南の太陽が一番暑いです。したがって暖房という点では、南西の太陽と西の太陽は冬にはありがたいですが、夏は大変迷惑なものであります。

一年を総合してみると、結局東南の太陽と南の太陽がよいということであります。この点からも、日当りは、ただ良ければいいというものではないことが分かるかと思います。

②風通し

通風は、家の中の新陳代謝をよくし、腐敗を防いでくれます。

このことは易をやっている人なら山風蠱を考えてもらえば理解ができるかと思います。風は人の生活に欠くべからざるものですが、植物にもいろいろな作用をします。易の説明を借りれば、中庸と過不及とがあります。不及は風のないことで、過のほうは逆に害を及ぼす台風のことであります。つまり、このどちらも好ましくなく、中庸でなければいけないということであります。

また、風もどの方向から来る風をたくさん入れたほうがよいか、それによってどこに窓をとったほうがよいかということを、合わせて考える必要が出てきます。窓さえあれば、風の通りがよいと考えるのは無知で、その風の通り方が重要な意味があることに気づいて欲しいです。

③寒暖調和

家は服と同じ役目であり、一年を通じて、冬服、夏服、合着と変化できるものでなければいけません。夏は涼しく、冬は暖かく作るにはそれ相応の設計がいります。そうかといっても、冷房、暖房をむやみに効かし過ぎるのは、エネルギーの代謝が不合理になり、体力の衰弱のもととなるので、気をつけなければいけません。なんといっても、人間の一定した体温を基準に、寒暖の調和をしていくのが一番良いのであります。

④実用的であること

家は、まず天地の恩恵を受けるのに都合がいいという点から考えていくことが必要で、目先の実用一点張りでは近視眼的でよくありません。つまり使いがよく、実用的につくることですが、天地自然の恩恵を合理的に生かすことが大切であります。これが本当の合理性で、目先だけの合理主義は無意味であります。広い意味での実用性を考えに入れて、家を設計しないと片手落ちになります。

⑤美観

日本人はとかく、美観はぜいたくと混同しがちですが、必要以上の贅沢はいらないが、美観は欠かせない条件であります。人間は精神的な動物であり、体力や英気は、家相でいうところの美観によって養われることが多いからであります。室内の色彩、家具の調度品の配置などインテリアを考えることによって、これはいくらでも工夫することができます。

⑥好条件に吉相が生まれる

これは、東西南北の方位のまとめです。

まず、北は山や丘、あるいはこれに準ずるものであることです。山や丘はその腹中に水を貯蔵し、われわれに与えてくれる大自然でありますが、その他、寒い風を防いでくれるものでもあります。北側に山はなくても。森や大きな家などがあれば、ある程度山と同じような働きをしてくれることもあります。

東は清流の流れ、すなわち清い流れの水であります。流れる水とは濁らない水のことです。清流というのは酸素を多く発散させる水というわけで、草木など成長にもよいのであります。東のほうに草木をたくさんおくという考えは、ここから発しています。木を植えるに際しては、日当りを考え、ある程度の間隔を置くことが大切です。こうしておけば、酸素性の空気の流通をよくすることにもなります。

南はひらけていることです。雄大な感じのする平野や海原がよく、何かふさがれているのはよくありません。人間は絶えず雄大なものを求めていれば、心も自然と大きくなってくるのであります。南がひらけていれば、人生の希望も持ち続けていられます。

西はだいたい道路(交通)ということになりますが、本当は小立地条件に、西に道路があっては困ることが出てきます。道があると、家の玄関がどうしても西口になってしまうからです。ただ、立地条件として、できるだけ西のほうに交通の要所となる街があるのがよいのであります。街が西にあれば、南、東をふさがないからです。

結局、原則としてどんな吉相の構造といえども立地条件が悪ければ、完全な意味での良い家相とはいえないということは忘れないでください。

家そのものの相は良いのにどうも悪いことばかり続くということは、この立地条件をよく考えなかったからであります。