緑がかった痰(たん)が出る(肺炎)

痰(たん)は健康な人でも必ず出ます。赤ちゃんでさえ痰はあります。痰の色は透明で、ほとんどの場合、知らないうちに飲み込んでしまうので、痰の存在を意識しないのが普通です。

痰の正体は、口や鼻から入ったほこりや花粉などのゴミです、それらを気管にあるせんもう細胞が集めてのどの方へ運びます。

喉に運ばれた痰は、反射的にゴクンと飲み込まれるので、そのまま食道から胃へと運ばれます。健康な人は毎日10~20回ほど、痰を飲み込んでいるといわれています。

また、細菌が侵入してのどに炎症が起きても痰はたまります。この場合の痰は白血球の死骸がほとんどです。白血球は侵入した細菌を食べて、細菌を道連れに自滅します。その塊がいわゆる膿です。気道にたまった膿が痰として、外に排出されます。

病名と痰の色は、炎症が起きた場所で異なります。

のど仏より上の部分で炎症が起きたら上気道炎、いわゆる風邪であり、この場合、症状は比較的軽く、痰の色は透明に近い色です。

それがもう少し奥まで侵入されて、のど仏の下で炎症が起こるのが気管支炎で、ややこじらせた風邪で、痰の色はちょっと黄色くなります。

さらに、炎症が奥まで侵入し、肺に至ると肺炎です。肺炎の痰は緑色で、さらに悪化すると血液が混じった鉄さび色になります。

透明→黄色→緑色→鉄さび色という具合に、痰の色で病気の重症度が分かります。

なお、痰に血液が混じることもありますが、綺麗な透明の痰に赤い血の筋が混じっている場合は、せきのしすぎなどでのどに傷がついただけの可能性が高く、あまり怖がる必要はありません。怖い場合なのは、鮮やかな赤い痰が塊で出てきたときです。これは、肺がんの疑いが濃厚です。

肺炎を防ぐには、当たり前ですが、ウィルスに感染しないことです。手洗い、うがい、マスクを徹底します。マスクをつけることは、他人のくしゃみやせきの飛沫を防ぐだけではなく、冷たく乾いた外気がいきなり気道や肺に入って、ダメージを与えることも防いでくれます。そして、日常の不摂生を減らし、免疫力の向上に努めましょう。

日本人の死因として上位に上がる肺炎。重症化すると死に至る可能性もあります。肺炎を起こす細菌として、最も多いには肺炎球菌という細菌です。これはワクチンで予防もできます。心配な人は、65歳からの定期接種を受けるようにお勧めします。

〇何科に行くべき?

内科/呼吸器内科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社