玄関について

▽玄関について

玄関は母家より多少張っている程度のものを吉としています。だいたい門と同じような考えで大きさも常識的に大きすぎたり、小さすぎたりしないことであります。

どうしても玄関を大きくとりたい場合は、大きいということは、広いこと、高いことにつながることを思い浮かべましょう。家は立体であるので、一つの考え方として、狭い坪数のところで玄関を大きく見せようと思ったら、天井を高くとればいいでしょう。ただし、このような玄関は確かに大きく雄大にはしてくれますが、心の小さな人にとっては、自分を過信したり、おごりが高ぶる心を抱かせたりしかねないので注意が必要です。

たいてい玄関の大きさというのは、家や建物の大きさ、その使用用途によって決まってきます。

学校や会社、または人が集まってくるような仕事をしている家の玄関は、雄大に構えておけば、入ってくる人は高貴な気持ちになれます。例えば、もし銀行が貧弱で薄暗いかまえでしたらどうでしょうか?不信が湧き、落ち着かない気分になるでしょう。このようなことからも、銀行や寺、神社などの天井は高くで、すがすがしい気分が出せるようにつくってあります。客は頼れる気持ちになり、絶対不正をしないという高貴な気持ちにもなれるのであります。

こうした心理的な効果も考慮して、玄関の広さ大きさは考えていかなければいけません。

玄関は多少張っているものがいいと先述しましたが、その他は、だいたい門と同じ考え方をすればいいでしょう。そして、家より中央より、多少左か右に片寄っていることも、条件の一つであります。

母屋の割に玄関が狭いと心も狭くなり、社交性、積極性に欠けて、利己主義になりやすいです。玄関は外への出入り口なので、人の性格の中では社交性に影響します。小さい入り口から出たり入ったりすることは、肩身の狭いものであります。大きな玄関は正々堂々として、気持ちがいいものでありますが、小さい玄関は、発展性が阻害された感じがします。

しかし、家が大きいからと、間口が5~7m以上(三間~四間)もある大きな玄関はおかしなものです。だいたい玄関の間口は1.8m(一間)が標準であります。旅館など公衆の集まる建物の玄関は、3.6~5.4m(二間~三間)くらいあっても構いません。また、玄関の天井は、居間よりも多少高いものを良相とします。天井が高いと、気分的にすっきりし、高貴な感じを与えるからであります。しかし、天井もあまり高すぎると、親しみがなくなり、冷たい感じになります。

なお、玄関は奥行きよりも、間口の広いものを良相としています。