鉄分

自分の爪を見たとき、白くなっているのは貧血のサインです。その他にも、まぶたをひっくり返し、もしまぶたの裏側が白っぽくなっているようでしたら貧血の可能性大です。

健康な爪は緩い山形にカーブを描いていますが、貧血は長く続きますと、爪に形が変わります。スプーンネイルといって、爪がスプーンのように逆向きに反ります。

さらに重度の貧血になりますと、なぜか氷を食べたくなることが分かっています。理由はまだ分かっていませんが、実際、多くの貧血患者は、同様な症状が見受けられるようです。もし、冬でも氷をバリバリ食べていたら、貧血を疑ってみてください。

貧血の大きな原因は鉄不足です。血液中にある赤血球にはヘモグロビンという物質があり、酸素と結合することで、体中に酸素を運ぶ役割を果たしています。このヘモグロビンをつくるのに必要になるのが鉄分です。鉄分が不足しますとヘモグロビンが少なくなるので、血の成分が足りなくなって貧血になります。血をなめると鉄の味がするのは、ヘモグロビンが含むからです。

鉄分が不足して貧血が続くと、めまいやふらつき、息切れ、疲れやすいなどの症状が目立つようになります。特に、女性は生理によって慢性的な鉄分不足に陥りがちです。

鉄分は食事で補うことができますので、意識的に鉄分が豊富な赤身の魚や肉、レバー、ほうれん草、小松菜、あさり、しじみなどの食品をとるようにします。また、鉄分吸収を助けるビタミンCも不可欠です。

反対に、タンニンは鉄分の吸収を阻害します。そのため、タンニンを多く含むコーヒー、紅茶、緑茶を、食事中、食後に飲むと、鉄分の吸収を妨げる可能性があるので要注意です。貧血気味の人で、毎日の習慣にタンニンを多く摂取している場合は、見直したほうがいいかもしれません。

なお、鉄分を意識的にとっても症状が改善しない場合は、別の大病が隠れている恐れがあります。そのようなときは一度、病院で検査をしたほうがいいでしょう。大腸がんや胃がんなどによる体内での出血が起きている可能性があります。たかが貧血と侮っていますと痛い目にあうこともあるので注意しましょう。

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社