8.衝脉

衝脉

衝は重要な通路の意味であり、前では諸陰の脉に合し、後では諸陽の脉に合し、十二経脉の海といわれています。

1)衝脈の流注

衝脉は五臓六腑の血海といわれ、任脉と同じく少腹の内側、胞中より起こります。その浮かんでのぼるものは、気衝穴から起こり、足の陽明胃経、足の少陰腎経の間に並んで循って上行して、腎経と並んでへその傍らをはさんで、幽門穴に至り、胸中に入り散じます。さらに上行し咽喉と交わり、別れて唇口を絡みます。

気衝→横骨→大赫→気穴→四満→中注→肓兪→商曲→石関→陰都→腹通谷→幽門

宗穴-公孫

2)衝脉の中で多く用いられる経穴と主治症

三陰交:婦人科疾患、下肢の冷えからくる消化器疾患、慢性消化器疾患、胃腸炎、腎炎、膀胱炎、脚気。

気衝:腹膜炎、腹水(灸が著効)、下腹痛、胃痛、鼡径神経痛。

大赫:膀胱炎、尿道炎(尿意頻数のときに、尿道の方へ鍼の刺激で響かせると著効)、陰萎、女子不感症、月経痛。

中注:腸仙痛、腰痛、慢性腸カタル、消化不良、腹膜炎、陰萎、精力減退。

肓兪:腎臓病、急・慢性下痢、腹膜炎、頑固な胃痛。

陰都:胃疾患、気管支炎、喘息、咳嗽、胃部膨満・不快感。

公孫:胃炎、胃痙攣、胃潰瘍、陰茎硬直、眼瞼痙攣、全身痙攣、月経困難、食道痙攣、心拍急迫、膵臓炎、疝痛、胆石疝痛、腸カタル、腸痙攣、動脈炎、ヒステリー、尿閉、便秘、耳鳴り、瘠削症、利尿困難。