3.陽蹻脉

陽蹻脉

「蹻」は軽く壮健で敏捷の意味で、足跟(かかと)の別名である陽蹻脉、陰蹻脉はどちらも跟中に起こり、陰蹻は内果、足の少陰腎経の別絡からなる照海穴より起こり、陽蹻は外果、足の太陽膀胱経の別絡なる申脈穴より起こり、共同して人体の運動作用を司ると同時に、どちらも目頭に至り、まぶたの開閉を司ります。

1)陽蹻脉の流注

陽蹻は足の太陽膀胱経の別脉であります。外果の下の申脈穴から起こり、くるぶしの後ろよりかかとをめぐり、僕参をもって本とし、上って外果の上の跗陽穴をもって郄として、ただちに上り、股の外廉(外面)をめぐり、腋の後ろをめぐり、胛(肩甲骨)上で臑兪穴と交わり、肩髆(肩甲骨)の外廉を通り、巨骨穴、肩髃穴に至り、人迎穴に上り、͡口吻(口先)の地倉穴、巨髎穴を通り、承泣穴に入り、目の内眥(目がしら)の睛明穴に至り、これより上行して髪際に入り、耳後に下って風池穴に入って終わります。

申脈→僕参→跗陽→居髎→臑兪→巨骨→肩髃→地倉→巨髎→承泣→睛明→風池

宗穴-申脈
郄穴-跗陽

2)陽蹻脉の病症

陽蹻脉が発病すると、陰気が不足し、陽気盛んとなり、常に不眠があらわれます。『難経』二十九難には「陽蹻病むと、陰はゆるやかに、陽は急となる」とあります。

3)陽蹻脉中に多く用いられる経穴と主治症

地倉:顔面麻痺

人迎:喘息、リウマチ、高血圧症、レイノー病、脱疽(著効)。

巨骨、肩髃:五十肩、リウマチ、上肢病、半身不随、皮膚病(名穴)。

臑兪:上肢の疼痛、半身不随、リウマチ(必須)。

僕参:踵骨痛、腓腹筋の痛み、足の痛み、捻挫。

跗陽:膀胱の熱を下げる、座骨神経痛。

申脈:緑内障、近視、座骨神経痛、癤多発症、腰痛、興奮状態、斜頸。