4.陰蹻脉

陰蹻脉

「蹻」は軽く壮健で敏捷の意味で、足跟(かかと)の別名である陽蹻脉、陰蹻脉はどちらも跟中に起こり、陰蹻は内果、足の少陰腎経の別絡からなる照海穴より起こり、陽蹻は外果、足の太陽膀胱経の別絡なる申脈穴より起こり、共同して人体の運動作用を司ると同時に、どちらも目頭に至り、まぶたの開閉を司ります。

1)陰蹻脉の流注

陰蹻は少陰腎経の別脉で、然谷穴の後より起り、内踝の上を上って、陰股を循り、陰に入り、上がって胸裏をめぐり、缺盆穴に入り、人迎穴の前に出て、頄(ほほ骨)に入って、目の内眥(目がしら)に属します。

然谷→照海→交信→睛明

宗穴-照海
郄穴-交信

2)陰蹻脉の病症

陰蹻脉が発病すると、人の陽気は不足し、陰気は偏盛になり、常に多眠となります。難経二十九難曰く「陰蹻病むと、陽はゆるやかに陰は急となる」とあります。

3)陰蹻脉中に多く用いられる経穴と主治症

照海:腎臓病、咽頭痛、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、腫物、腎炎、腎盂炎、失声症、子宮内膜炎、摂護腺炎(前立腺炎)、多尿症、不眠症、不感症、船暈(船酔い)、腹膜炎、膀胱炎、無月経、無尿症、憂鬱症、卵巣炎。

交信:婦人病の熱をおさめる。逆上、項痛、血行障害、痔、こしけ、アレルギー、胃潰瘍、黄疸(肝炎)、嗅覚喪失、脱肛出、虫垂炎。