陽維脉
維はつなぐの意味で、陰維脉は諸陰をつなぎ絡め、陽維脉は諸陽をつなぎ絡めます。
1)陽維脉の流注
陽維の脈は陽を維す。その脉、諸陽の会に起こる。陰維とともに皆、身を維絡す。この脉「金門」の穴より起る。外踝の後より上りて「陽交」、「居髎」に至り、脇肋を循り、斜めに肘上に上り、「臂臑」と交わり、肩の前を通り、「臑兪」、「天髎」、「肩井」と交わり、督脉の「瘂門」、「風府」と交わり、耳後の「風池」に出て上りて頭の胆経を循り、「本神」の穴にて終る。
金門→陽輔→陽交→臂臑→天髎→臑兪→風池→瘂門→風府→脳空→承霊→正営→目窓→頭臨泣→陽白→本神
宗穴-外関
郄穴-陽交
2)陽維脉の病症
陽維脉が発病すると、多く寒熱がみられます。陽維は諸陽に行き、衝を司ります。衝は気となり、気が表に在るので寒熱に苦しみます。
3)陽維脉中に多く用いられる経穴と主治症
①臂臑:上肢痛。
②天髎:肩こり、頭痛、五労七傷を治する。血圧を下げるのに効ある。
※五労:視・臥・坐・立・行
※七傷:怒・喜・思・憂・驚・悲・恐
③肩井:主に肩こり、強い歯痛、偏頭痛。
④風池:頭痛、偏頭痛、感冒、脳充血、脳溢血の予防、肥厚性鼻炎、蓄膿症、視力減退、乱視。
⑥瘂門:言語障害、舌の動きに障害があると著効(この部の周囲の血絡より、瀉血すると、脳軟化症、高血圧症などに著効がある)。
⑦風府:風邪、鼻血、蓄膿症、肥厚性鼻炎、慢性鼻炎などの鼻疾患。脳充血、脳出血、血圧亢進に大切。頭痛、神経衰弱、言語障害。
⑧外関:片麻痺、肩こり、首こり、けいれん、月経困難、頭痛、どもり、捻挫、にきび、胸やけ、網膜炎、物貰い、緑内障。