トイレの排水と構造

▽トイレの排水と構造

まず、縁の下を縦横断させることは禁物であります。パイプの中をスムーズに流れている内は差し障りないのですが、何かの故障で水が漏れた場合、縁の下に水が溢れて、土気とともに上昇し、室内に悪影響を及ぼすことになります。パイプが破れた場合の工事もまた大事なことなので、床下を縦断させずに、必ず外側へ通すことであります。

家相では、水の流れは東から西、南から北に流れるのが吉で、四隅の方へ流れるのは凶とされています。四隅は土用の方位なので、やはりそちらの方にマンホールがあり、そこに流れるのはいけないということは理解できるかと思います。昔は、下水道には土管を使用しつないでいましたが、今はほとんどがビニール管が使われているので、丈夫ではありますが、長い年月には破損したり、つまったりすることが考えられますので、やはり前述の点に注意することが必要であります。

トイレをつくるとき大切なことは必ず掃き出し口をつけることであります。理由は、ゴミを掃き出すためではなく、換気口、臭気口の関係からであります。臭気は下に沈む傾向にあり、上に換気口がないと、通気が悪く、常識的に考えても、トイレに続けて入った場合に前の人の臭気が残ることがあります。また、屋内に臭気を入れないためにも、床面近くの低いところにガス排気口をとりつけることが必要であります。

次に構造上のことでありますが、トイレの窓を風圧の強い方につけると、逆に風が入ってくるので、それにも注意しなければいけません、だいたいトイレは暗いところにつくられやすいですが、いわば不浄場であるので、できれば明るいところがよいのであります。明るいと汚れが目立ち、衛生的にできるメリットがあり、殺菌も可能であります。また、ここは水気の関係するところなので、便槽を防水コンクリートやタイル張りにするのがいいでしょう。もし、汚れが床下に流れることがあれば、家の中にも嫌な臭いがするので、できるだけ漏らない造り方をするべきであります。

さらには母屋と切り離して下屋式につくるのが理想的で、母屋内につくるときは、各部屋とは隔離状態に造るのがよいでしょう。便所内の壁構造や天井上部も、窓、臭気口以外は密閉するとともに、できたら水気のあるものは、二階につくらないほうがよいでしょう。水は下へ下へ落ちる性質があり、どんなところにでもしみこんでいくので、長い年月には漏れるようになります。