旬の食べ物

旬の食べ物

昔から旬のものを食べるとよいとされていますが、なぜでしょうか?人間は大自然に順応して生きているので、その自然が作った作り立ての母乳である旬のものを摂取することは、自然の働きに完全順応することであり、とても望ましいことであります。

季節の折々には、その旬に応じた食物が育ち、人間の変化していく人体を正しく調整してくれます。例えば、夏の土用から皮下脂肪をつけ、秋には完全に越冬準備をした体を、冬にはその脂肪を徐々に分解しなければいけません。春は、夏に向けて脂肪分解して暑さをしのげるように準備するとともに、冬の分解された脂肪が栄養素となって、新芽細胞をつくって新生細胞の確立をします。

このためには、脂肪分解素と新芽細胞新生素の含んだ食品が必要となってきます。このような栄養素を大量に含んでいるのが春季にとれる旬の食物なのであります。他季も同じように、その季の体に応じた旬の産物ができます。

〇春季に適するもの

①春にできた野菜を朝食に副食として食べる(冷え症人は少量にする)。
②脂肪分は出来るだけ少なく、5日に1回くらいの割合で夕食にとる。バターマーガリンのような凝結性の脂肪は絶対に避ける(とくに肝旺、心旺タイプは極小にすること)。
③出来るだけ朝食を軽くするか、抜くようにして肝臓の働きを助ける。
④梅干しは、毎朝食に1個といわれているが、春は他季よりも多めに梅干しの酸を必要としている。早春より仲春、仲春より晩春と酸味性の食品を徐々に増やしていく(冷え症の人は急に酸を多くとると、一層冷え症がひどくなるので、暑がりの人より少なめに摂ること)。
⑤春は他季よりも、ビタミン、無機質、タンパク質を多く摂り、でんぷん質は少なく控えめにする。

〇夏季に適するもの

①毎食、この季にできた野菜を副食として食べる(冷え症の人は過食しないように量を控えめにし、暑がりの人は多少余計に摂る)。
②土用期までは脂肪分は極小にする。食べる場合は、軽く夕食に摂る。土用から少しずつ余計に摂り始める。
③昼食は出来るだけ軽くし、さっぱりとしたものを摂り、心臓への負担を軽くし、食休みを多くとり、昼寝をするのが理想。
④冷え症の人は、この季はとくに口渇するが、冷飲料水、スイカ、トマトなど冷える食品は避け、逆に熱いものを飲んで冬に備えること。熱性タイプは、午後3時まで適量の冷飲料水、冷やす食品を摂っての体温調整を図ってもよいが、冷たいものはなるべく避けることが望ましい。
⑤長夏の土用まではビタミン、無機質、タンパク質を多く摂り、土用以降はでんぷん、脂肪分を他季より増やしてよい。

〇秋季に適するもの

①この季にできた野菜や穀物を主食・副食として食べる。他季よりやや多く食べて差し支えない(冷え症の人は果実を少なくし、なるべく脂肪分が身につくように酸味性の食品を減らす)。
②脂肪分は他季より増やす。熱性タイプの人でも果実を摂り過ぎると、脂肪が身につきにくくなるので適量にする。
③よく働き、よく運動し、よく食べて、冬に対する身構えが出来るように体力をつくっておく。
④他季よりは、辛味性の食品を摂って、皮膚や筋肉を引き締める。辛味は夕食に摂って、朝は控える。
⑤秋は、他季より五大栄養素をまんべんなく摂り、とくにでんぷん質、タンパク質、脂肪分を余計に摂る。

〇冬季に適するもの

①冬は、夏や秋に貯蔵したものを食べ、夕食が過食にならないようにする。とくに夜が長いので、夜にものを食べやすいが、できるだけ避ける(腎の働きを損傷する)。
②脂肪分や体の暖まるでんぷん類を他のものより余計に摂ってよいが、過食とならないようにする。
③冬は出来るだけゆっくり起きて、夜早く寝て、食べ物はかゆ状のものがよい。また、太陽をいっぱい含んだ貯蔵食品が望ましい。
④ミカン、リンゴなど酸味性のフルーツは極力食べないようにし、その他、冷える要因となる食べ物も絶対に摂らない。熱性タイプでもいけない。
⑤冬は、お湯でもお茶でも、水分を余計に摂らないようにする。水分が過剰になると腎が疲労し、内燃性に欠け、保温・代謝が不調になる。

以上が季節に通した理想的な食事の摂り方であります。反対に旬に反した食生活を続けていると、病気の素因を蓄積していくことになります。

現代は温室ものの食品が開発され、冷暖房が発達したことにより、季節が無視され、四季が関係なくなっています。例えば、冬に暖かい部屋で、冷たいジュースやトマト、メロン、スイカ、生野菜などといった夏の食品を平気で食べていますが、季節に叶っていないものは、〝百害あって一利なし〟であります。

一番悪いのは、季節違いの温室もので、夏野菜のキュウリやトマトなどを、全く反対の冬に食べることです。これは幼い子供が食べるとすぐに分かります。お腹をこわし、下痢するか便秘するか、またひどいときは発熱します。幼児は全てにおいて敏感であります。

「大人は抵抗力があるので大丈夫だ」とたかをくくっていると積悪され、大変なことになります。病気は一朝にしてなるものではなく、毎日の積悪の積み重ねによって作られます。原因不明の病気などは、このような積み重ねが爆発したものによることが多いのであります。